ハングル版木朱塗箱
ハングルハンギシュヌリバコ
概要
朝鮮の完州(今の全州)で十八~十九世紀に刷られた小説の版木を用い、黒漆と朱漆を塗り重ね文字部分を研ぎ出した箱。日本では江戸時代から歌留多や暦の版木を箱に仕立てる例があり、本品も日本製だろう。小説は『劉忠烈傳(ユウチュンヨルジョン)』という英雄伝説。当該箇所は、明で逆賊の誹(そし)りを受け流罪となった姜(ガン)ヒジュ宰相が、婿である主人公に手紙を送り、逃げのびていつか娘を迎えに来るよう頼む切ない場面。朝鮮半島では戦災で古い版木の多くが消失しており、本品は貴重。韓国の古版画博物館に類品がある。