群書治要 巻三十一
ぐんしょちよう まきさんじゅういち
概要
『群書治要』全50巻は中国・唐時代の631年、太宗皇帝が治世の参考になる資料を編集させたものです。唐時代の政治思想を知るうえで重要なもので、日本でも平安時代初期から宮中において講読が行なわれ、尊重されてきました。中国では早くに失われてしまいましたが、平安時代中頃に書き写され公家の九条家に伝来しました。紫色や縹(はなだ)色(薄い藍色)、茶色に染められた紙には金の罫線が引かれています。その書は数人の筆者によって記され、柔らか味のある典雅な楷書に特徴があります。また、漢文を読むための乎古止点(をことてん)や校合(きょうごう)の書き入れがあり、国語研究の上からも貴重な史料となっています。この作品のように、中国の書物が日本的な色紙に書き写されたものは珍しく、その色彩の美しさと楷書の美しさが、格調の高い調和を見せています。どうぞ平安書跡の美の世界をお楽しみください。