水辺村童図
すいへんそんどうず
概要
前景に竹籠を背負う男性、赤児を負ぶった子どもと犬、川を挟んだ遠景には透視図法(線遠近法)を取り入れた村落と山並みを表わす。雲のかかった空を画面上半分に広々と表わし、画面右の高く枝を張った樹木に一羽の鳥が留まる。その表現には刻線(ハッチング、クロスハッチング)を模した平行線や交差する線が見られるなど、西洋銅版画学習の痕跡が顕著である。落款「天保十一年庚子九月 雷洲安田尚義製」「Willem Van Leiden」により、安田雷洲(?-1859)の円熟期の作例、かつ細緻な描き込みから画家の代表作と位置付けられるものである。