鍍金酒樽
ときんしゅそん
概要
平底に三足をもつ盆形の青銅器・酒樽である。内外の表面に鍍金を施す。三足はそれぞれ正面を向いた動物の姿を全体で象る。ごく細い線を鏨で刻み、毛並みなどの細部を表す。胴部2箇所に遊環を銜えた獣面形の座金具・鋪首を均等に配する。長年土中にあったため、本作は土圧による変形と損壊が生じており、出土後に破片を接合する修理を行っている。欠失した箇所は新たに補填して完形を復元している。蛍光X線分析を行った結果、後補には真鍮を使用したものと考えられる。
酒樽は漢時代の青銅器の一種で、比較的大型の酒器である。これに容れた酒を勺などで掬い、耳杯に注いだ。酒樽は温酒樽や耳杯と並んで漢時代の酒宴に欠かせない容器であるにも関わらず、日本では所蔵品がたいへん少ない。本作は修理時に補填された部分を含むものの、全形が分かる希少な例として重要な価値をもつ。