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田家の雪

でんかのゆき

概要

田家の雪

でんかのゆき

日本画 / 昭和以降 / 日本

横山大観  (1868~1958)

よこやまたいかん

昭和12年/1937

絹本着色

53.2×71.4cm 総寸:H168×軸心幅96.5㎝

1幅

福井県立美術館

福井県立美術館

大観69歳の作品で、この年の勅題「田家の雪」を画材として本図を作画したものである。
 大観が本作を描いた昭和12年には、日本文化に貢献した優れた学術研究者や芸術家たち9人が第1回の文化勲章を授与された。その中に日本画で横山大観と竹内栖鳳の2人、洋画では藤島武二と岡田三郎助の2人が選ばれた。大観はすでに帝国芸術院会員や帝室技芸員であることも加味して、日本画界はもとより、日本美術界を代表するにふさわしい最高の地位を保持することになった。
 しかし、このような画家大観の地位は彼の師岡倉天心と共に築き上げてきた在野精神の本質から離れつつあり、心の内から生み出される切実な絵画的表現の根源となる豊かなモチーフというより、富士山に松と海景、それに旭日を配した類型的な作品が増えつつあった。
 大観はこの当時毎年のように勅題を作画していった。昭和8年「朝の海」、10年「地辺の鶴」、11年「海上雲遠」、12年は本図の「田家の雪」、13年「神苑朝」、14年「朝陽映島」等の勅題を絵画化している。特に本図の「田家の雪」は大観の勅題をテーマとして描いた中では、最も自由なイメージで描かれた作品で、雪国の田家の里の情景を近代日本画の巨匠、大観独自の優れた絵画的構図で簡潔に描写した。
 遠景の白一色の雪山、中景の嶺線をわずかに針葉樹などの林立によって、二、三の山容を描き、画面下右寄りの近景には二、三軒の田舎家と杉木立、それにやがて迎えようとする春の訪れを告げているかのように老梅に数輪の花が咲いている。雪深い山村の景観を見事に絵画化している。そこに描かれた白銀の世界や、積雪深く埋もれた田家の情緒には、どことなくやがて訪れる春の雪解けの真近を告げるかのようにやわらかい日差しが降り注いでいる。
 横山大観は明治、大正、昭和の三代にわたって日本画の革新とは何かについて天心の精神を心に深く刻みながら、その画業に専念し、同時に初期院展、再興院展等を通じて永年にわたって後進の指導をしてきた功績は、近代日本画史の上からも極めて大きなものがあった。

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大観 / 横山 / 描く /

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