薄日出蒔絵櫛
すすきにひのでまきえくし
概要
木製、山高形、角棟の挿櫛である。山高形は、享保6年(1721)『女要珠文庫』で「京かた」と記されるものに近く、『玳瑁亀圖説』では江戸で享保・元文年間(1716~1741)に流行したとされ、概ね18世紀前半に流行した形状とみられる。銀溜地に朱金で日出を、金と青金の平蒔絵で薄を表す。裏面の左下に「常嘉斎」の蒔絵銘があるが、蒔絵は近代の後補である。花柳章太郎(1894~1965)の旧蔵品で平成15年(2003)に遺族の青山久仁子氏より国立劇場へ寄贈された。