富士に時鳥の句
ふじにほととぎすのく
概要
富士に時鳥の句
ふじにほととぎすのく
195×33(cm)
千代田区隼町4-1 国立劇場
登録番号6079
曾我廼家五郎旧蔵資料
解説:日比野啓(成蹊大学文学部教授)
独立行政法人日本芸術文化振興会
日本独自の輪補三段表装仕立にした掛軸。本紙に書かれているのは「兄方(吉方、恵方ともいう)のふじ 聞〇哉 時鳥」(〇は不明)。描かれた山の稜線は富士山という見立てだ。曾我廼家五郎という芸名は仇討ちで有名な曾我兄弟の弟、曾我五郎時致にあやかってつけたものだが、時致が兄・曾我十郎祐成とともに父の仇である工藤祐経を討ち果たしたのは、源頼朝が富士の裾野で行った大規模な巻狩りの際のことだった。掛軸に富士山が描かれるのはよくあるが、五郎は格別の思い入れを持っていたのかもしれない。