大珠
たいしゅ
概要
鰹節形と称される長楕円形の石製垂飾である。表面には製作時の細かな凹凸を残しているが、比較的丁寧に研磨が行われている。穿孔は中央付近に一か所見られ、片側から行われている。石材は翡翠で、新潟県糸魚川産と推定される緑色の透明度の高い良質なものである。
縄文時代後半期には、緑色石材製の垂飾が流行した。大珠はその一例で、中期の東日本で発達し、後期には西日本へと伝わった。本品のような翡翠製のものは、特に東日本で特徴的に見られるものである。九州の大珠は形態的には東日本のものに類似するものの、石材は緑色や白色の翡翠に似た地元の石材が選択された。各地で展開する大珠から、縄文時代の地域性や交流を知ることができる。
<志賀智史執筆, 2024>