法華経普門品
ほ け きょう ふ もんぼん
概要
金泥の界罫線を引き、界の天地には銀泥地に波文を磨き付けの手法で表し、所々に金銀の砂子・切箔・野毛を撒いて装飾を加えた料紙を五紙継いで、『法華経』の「普門品」を書写している。表紙には唐草文様を金銀砂子の型摺りによって表し、見返しには界の天地と同様に銀泥地に波文を空摺りにし、彩色によって画面左上に怪魚が顔をのぞかせる嵐の海で難破する船、中央部にはこの船に容麗な姿に身を変じた羅刹が海辺で手招きをし羅刹鬼の国へ誘い込もうとする図、右下には観世音菩薩を念ずる事によって羅刹の難をまぬがれ、無事に航海を終えようとするありさまが対角線的構図の中に描かれている。これらは「普門品」の中に説かれている観世音菩薩の諸難救済を図説している。
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