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福島県・いわき市

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))旧天田愚庵邸福島県いわき市平字古鍛冶町47-1

旧天田愚庵邸

松ヶ岡公園に移築保存した歌人・天田愚庵旧居。東面入母屋造、西面切妻造茅葺、東西に座敷と茶室を並べ、東南隅に仏間を設ける。細身の皮付柱を基調に端正にまとめつつ、座敷飾は松と竹の丸太を用いて大仰につくるなど、近代の文人趣味を伝える数寄屋建築。

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))桜丘会館福島県いわき市平字桜町5-1

桜丘会館

敷地南に位置する旧磐城高等女学校の図書館兼同窓会館。一階を図書館、二階を畳敷の教室とする本館と、西の生徒生活実習寮である新館からなる。モルタル塗の外壁に丸窓や欠円アーチの縦長窓、隅部に横長窓を付すなど、昭和前期における建築潮流の影響を示す。

国指定文化財(史跡名勝天然記念物)根岸官衙遺跡群いわき市

根岸官衙遺跡群

 根岸官衙遺跡群は福島県いわき市に所在する根岸遺跡と夏井廃寺跡からなる古代の官衙遺跡群である。周辺には、郡符木簡や漆紙文書を出土した荒田目条里遺跡等、多くの古代遺跡が点在する。遺跡群の所在する磐城郡は、養老2年(718)には一時期陸奥国から分離し、周辺の6郡を統括する「石城国」となるが、神亀元年(724)までに再び陸奥国に編入されて陸奥国磐城郡となった。
根岸遺跡は東に太平洋を望む比高約20mの丘陵地に立地し、南北600m、東西300mの範囲にある7世紀後半から9世紀にかけての官衙遺跡である。いわき市教育委員会による確認のための発掘調査で、政庁、正倉院等を検出した。政庁は丘陵北東部にあり、南辺は削平されているが、掘立柱塀による区画内に正殿と東西の脇殿を配することを確認し、大きく3期の変遷がある。正倉院には掘立柱建物と礎石建物があり、北群と南群に大きく分けられ、北群では管理棟と見られる廂付の建物も確認している。また丘陵南側では、7世紀から8世紀代の一辺10m前後の大規模な竪穴住居や四面廂付掘立柱建物等を確認した。これは、首長層あるいは郡司の居宅や館等の性格が想定される。丘陵ほぼ中央の沢部には廃棄場があり、木簡や木製品、土器等多量の遺物が出土した。このように、根岸遺跡は規模、配置等が明確で、政庁、正倉院等それぞれの全容と特徴が明瞭に把握できる点で貴重であり、磐城郡衙跡とする意見が強い。
夏井廃寺跡は根岸遺跡北側の沖積地に位置し、官衙に関連する古代寺院である。いわき市教育委員会による確認のための発掘調査で、塔や金堂、講堂、中門と伽藍を区画する溝を検出し、その内容がほぼ明らかとなった。創建年代は7世紀末から8世紀初頭と考えられ、10世紀前半に廃絶するまで3期の変遷がある。金堂は伽藍南側中央部に位置し、基壇は削平を受けているが掘込地業を確認した。塔は金堂の東側にあり、基壇上に心礎が残り、3間×3間の規模であることが判明した。講堂は伽藍の北側中央部にあり、金堂と南北中心線を揃え、基壇上の1箇所に礎石が残る。伽藍の区画溝は南北119.5m、東西96.3mの範囲である。周囲は当初掘立柱塀で区画するが後に築地に替え、南面には中門を検出した。他には、伽藍の東側で幢竿支柱を検出したことが特筆される。
根岸官衙遺跡群では、官衙遺跡の規模、配置等が明確な形で検出され、政庁、正倉院等それぞれの全容が明瞭に把握できるとともに、関連する寺院の全容も明らかとなり、多様な官衙の在り方を知ることとなった。これは、古代国家の地方支配体制を具体的に示すものとして極めて重要である。

国指定文化財(史跡名勝天然記念物)沢尻の大ヒノキ(サワラ)いわき市川前町

沢尻の大ヒノキ(サワラ)

阿武隈山地の中央に近い丘陵地帯の畑の中央に孤立してそびえ立っている。地元では「大ヒノキ」とよばれているが、樹種はサワラで、根元の周囲11.8メートル、地上1.3メートルの幹囲9.8メートル、樹高34.3メ-トル、樹勢はきわめて旺盛であり、現在知られているわが国随一のサワラの巨樹である。