神奈川県立近代美術館は、日本で最初の公立近代美術館として1951年11月17日に開館。2016年に鎌倉館が閉館してからは、葉山館と鎌倉別館の2館体制で運営しています。


【美術館の歴史について】

1951年に鎌倉館は、日本で最初の公立近代美術館として1951年に開館しました。設計は、20世紀を代表する建築家ル・コルビュジエの弟子、坂倉準三（1901-1969）によるもの。鶴岡八幡宮の歴史的な環境と見事に調和したその建物は、日本の近現代建築の代表として国際的にも有名で、1999年にDOCOMOMO（モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織）が選定する日本の近代建築20選にも選ばれました。2016年3月31日に閉館、同年11月に神奈川県指定重要文化財に指定、12月に鶴岡八幡宮に無償譲渡されました。


1984年に鎌倉別館は、1984年7月、常設展示スペースの確保と収蔵スペース拡充のため、元県営駐車場の敷地に建てられました。設計は、大高正人（1923-2010）が担当しました。建物建設に先立って行なわれた発掘調査の結果、玄関から前庭にかけての部分に室町期の鶴岡八幡宮二十五坊跡と思われる遺構が出土し、保存しなければならなかったため、当初の計画よりも建築面積がかなり縮小され、延床面積1,599.8平方メートル、展示床面積483平方メートルとなりました。1985年、建築業協会賞を受賞。軽快な印象をあたえる鎌倉館に対し、ボリューム感のある素材とデザインが対比的に用いられています。開館30年を迎え、設備改修と利用者サービス向上のための約2年にわたる休館をへて、2019年10月12日にリニューアル・オープン。展示室の壁面を一新し、彫刻庭園に面したテラスにはカフェスペースを増設し、アクセシビリティを向上させました。


2003年3月に竣工、10月に開館した葉山館は、神奈川県立近代美術館の3番目の建物です。当時最新の照明設備、空調設備を備えた展示室のほか、資料の収集と情報の発信拠点を目指す美術図書室、多目的に利用できる講堂、保存技術の粋を集めた収蔵庫などを備えた美術館施設となっています。生活の中で美術館に親しんでいただけるよう、エントランスホールから中庭、レストラン、ミュージアムショップ、野外彫刻を展示した散策路、さらに地下1階の美術図書室などは、観覧料なしでご利用いただけます。

【コレクションについて】

現在所蔵されている作品点数はおよそ15,000件にのぼります（2021年2月現在）。日本近代美術の分野の作品を中心に、日本の公立美術館のなかで有数の質と量を誇っています。 1951年の開館当初は、作品を集めて展覧会を開催することに活動の中心を置いていたため、 開館に向けてまとめて作品を購入することもなく、開館後もしばらくは作品購入費がありませんでした。 しかし、活発な展覧会活動を通じて、作家、作家の家族、収集家の方々のご理解と信頼を得るようになり、 また徐々に購入予算もつくようになって、次第にコレクションが形成されてきました。