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世界遺産と無形文化遺産

法隆寺

ほうりゅうじ

主情報

記載物件名
法隆寺

解説

詳細解説

法隆寺地域の仏教建造物は、以下に述べるように、歴史的に形成された配置を維持し、かつそれぞれがすぐれた建築様式をもっており、世界遺産条約第1条の建造物群に該当する。  日本には8世紀以前に建立された木造の歴史的建造物が28棟残る。このうち11棟が法隆寺地域に所在する。そのなかで7世紀から8世紀初頭までに建てられた法隆寺西院の金堂・五重塔・中門・廻廊と法起寺の三重塔とは、優れた意匠をもつ現存する世界最古の木造建造物である。  法隆寺の中枢部は西院と東院とからなり、この両院の間と周囲に子院がある。  西院:金堂は遅くとも680年ごろまでに完成し、それに続いて五重塔・中門・回廊を建立し、710年ごろには伽藍全体が完成している。これら建造物は、エンタシスをもつ柱や雲形の斗や肘木などに見られるように、8世紀の多くの建造物と全く異なる一時期古い構造と意匠とをもつ。この構造と意匠は北魏時代(6世紀)のころの中国文化の影響下に生まれたものである。西院では、回廊の中に東西に金堂・塔を配置している。この種の聖域の中枢部を左右非対称とする構成も世界的にも珍しいといえよう。この伽藍配置は、創建以後、多少の改変はされながらも今に存続する。さらに僧坊・食堂などの僧侶の共同生活関係の建造物や門・塀などの付属建造物も存続しており、古代仏教寺院の構成の全貌がほぼ完全に残る。現在、金堂や塔をはじめとして15棟を国宝に、6棟を重要文化財に指定している。  東院:8世紀前半に建設した伽藍で、八角円堂である夢殿を本堂とし、その周囲に回廊をめぐらせ、後方に講堂である伝法堂や僧坊を配している。ただし、13世紀には、太子信仰の隆盛にともなって、夢殿と伝法堂以外の建造物は建替えている。このとき、当初の中門位置には礼堂を置き、夢殿の後方に太子所持の仏舎利等を納める建造物を建て、現在に至っている。夢殿をはじめ3棟を国宝に、6棟を重要文化財に指定している。  子院:子院は、高僧が弟子とともに生活する住居と宗教活動を行う仏堂とを中において周囲を築地で囲んだ独立した小寺院の体裁をもつ。現在西院の南と、西院と東院のあいだにまとまって残る。最も盛んに子院が建設されたのは16世紀から17世紀にかけてだが、それを構成する多くの建造物のうち、13世紀から17世紀の本堂・客殿・門など17棟を重要文化財に指定している。