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延暦寺

えんりゃくじ

主情報

記載物件名
延暦寺

解説

 延暦寺は天台宗を伝えた最澄が平安京の鬼門鎮護のため 788年に建立し、後に法然、栄西、親鸞、道元、日蓮ら日本の仏教各派の始祖となった高僧を世に送り出した修行の寺である。  10世紀後期には現在のように東塔、西塔、横川の三地域を中心に堂舎が整備され、隆盛を築いていた。その後、火災のたびに再建が繰り返され、1571年には兵火により峰の西側に建つ瑠璃堂、相輪橖を除く全てが焼失し、再建が行われた。  近代には、瑠璃堂解体修理(1917及び1939)、根本中堂半解体修理(1954)、転法輪堂解体修理(1958)、常行堂及び法華堂解体修理(1967)をはじめとする修理事業が行われている。  総本堂である国宝の根本中堂は、 887年、正面11間、側面4間孫庇付の1棟として創建され、 938年に再建、 980年には孫庇幅を広げ回廊、中門が加えられた。その後、1435年、1499年、1589年に再建され、現在のものは1631年に倒壊後、1640年に再建されたものである。  正面11間、側面は内陣4間、礼堂にあたる中陣1間、外陣1間の計6間、入母屋造、瓦棒銅板葺という大規模な仏堂である。板敷の外陣、中陣に対し、三基の宮殿を安置した内陣は土間床石敷、小組格天井の格の高い仕様としている。  こうした形態と規模は平安時代まで遡ると考えられているが、架構や細部は、和様を駆使した江戸時代前期の気風を示している。  この他、根本中堂と中庭を挟んで位置する回廊をはじめ、東塔地域の2棟、西塔地域の4棟1基が重要文化財建造物に指定されている。