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熊谷家住宅

くまがいけじゅうたく

主情報

記載物件名
熊谷家住宅

解説

 熊谷家住宅は代官所跡から南西方向に向かって50mの地点に位置し、大森・銀山の街路に面して建つ建築物の中でも最大の町家建築である。  熊谷家は遅くとも17世紀には銀山柵内に住み、銀山の経営を行っていたものと伝えられている。その後18世紀初頭には現在地に移住したとされ、金融業や代官所の御用商人を勤めた。19世紀になると町役人に就任し、19世紀後半には酒造業も営み、大森・銀山の中で最も有力な商家の一つとして繁栄した。  現在の住宅は、1800年の大火により焼失し、その後の再建に成る。敷地内における建物の配置状況は、1872年の記録とも一致する。主屋の内部構成については、南側を土間、北側を居室としている。庭に面する「奥乃間」から東に延びる3部屋を接客の場とし、それ以外の部屋を商用の場や家族の日常的な生活の場としていた。19世紀における石見銀山の有力商人の社会的地位や生活の変遷を良好に示す町家建築である。