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畳製作

たたみせいさく

主情報

  • 選定年月日:20040902
  • 選定保存技術

解説

 畳は、古くは有力氏族などの邸宅における寝台【しんだい】の上敷や、貴族邸宅である寝殿造建築での座具や寝具として、置畳【おきだたみ】式で使用され、後に、室内周囲に「追い回し」に敷かれたり、室内全体に敷き詰められるようになった。やがて室町時代ころには書院造建築の発展とともに畳を敷き詰める習慣が広まり、近世以降、一般住宅にも徐々に浸透した。
 畳は、稲藁を交互に積み重ねて麻糸で縫い締めた畳床【どこ】に、藺草【いぐさ】を編んだ畳表【おもて】を張り、両側に畳縁【べり】を縫い付けて仕上げる(ただし琉球表などの例外もある)。
 畳を製作する際には、部屋の形状を正確に採寸して個々の畳床を加工し、調整する必要があり、また文化財建造物の畳縁には「高麗【こうらい】縁」や「繧繝【うんげん】縁」などといった装飾的な「紋縁」も使用されており、それを縫い付ける場合には、隣接する、または直交する紋縁の紋様を互いに合わせる「紋合わせ」の細工が重要となる。
 畳製作技術は、多様な規模や形状の部屋に合わせて、規格外の畳を加工し、特殊な紋縁を紋合わせに注意して縫い付け、敷込む技術で、その一連の工程には高度な熟練を要する。
 しかし近年の一般建築では、軽量化のため新建材等を使用した畳床が普及し、また紋合わせの必要な紋縁が使用されることも少なくなり、伝統的な畳製作技術を有する技能者が激減している。