黒楽茶碗(ムキ栗)〈長次郎作/〉
くろらくちゃわん(むきぐり)〈ちょうじろうさく/〉
概要
黒楽茶碗(ムキ栗)〈長次郎作/〉
くろらくちゃわん(むきぐり)〈ちょうじろうさく/〉
京都府
桃山
半筒形の胴を四方とし胴裾に丸みをもつ茶碗。素地は軟質陶胎、手捏ねで成形する。口縁をわずかに内に抱え込んで端部を丸く仕上げる。胴部は四方形とし腰との境には平らな段をわずかに作り出し、腰から高台までは丸く仕上げ、全体は厚手の整形となる。高台は小振りの円形で丸みを持ち、内を渦兜巾状に削り出し、境には幅広の浅い溝が廻り、高台端部には五箇の目跡がある。胴の内面には轆轤目風に穏やかな凹凸を作り出し、底部中央がやや大きく茶溜まり風にわずかに窪む。胴の一面には窯から引きだした時の鉄鋏の跡が残る。
黒釉は内外面全体に厚く掛けられ、やや褐色をおびた黒色に発色する。内面底部は茶渋により黒褐色を呈する。
高8.5 口径10.3~10.4 胴径10.5~10.8 高台径4.9 (㎝)
1口
京都国立博物館 京都府京都市東山区茶屋町527
重文指定年月日:20130619
国宝指定年月日:
登録年月日:
国(文化庁)
国宝・重要文化財(美術品)
長次郎作の黒楽茶碗である。胴部は半筒形から変化ある四方形を作り出したもので、長次郎を含め桃山時代の茶碗としては他に例を見ない。
本茶碗は長次郎初期の作になる黒楽茶碗を代表する優品の一つであり、桃山時代の茶道具の在り方を示す茶道文化史上極めて貴重な作品である。