厳島
いつくしま
概要
島ノ形状ハ長方形ニシテ對岸宮島驛ト一水道ヲ隔テ其ノ狹キ所ハ五六町ナリ島ノ最高峯ハ御山ニシテ頂上ヨリ瀬戸内海ノ風景ヲ一眸ノ中ニ收ムルコトヲ得ヘク島中ニハ瀑布アリ砂丘アリ奇岩アリ更ニ森林ノ風致ヲ備フルアリ秋季ニハ紅葉ノ美觀ヲ添フルモノアリ海中ニ立ツ大鳥居ハ島ノ一偉觀ニシテ廻廊ハ海中ニ築營セラレ恰モ海上ニ浮フカ如ク日本三景ノ一トシテ人口ニ膾炙ス平氏ソ崇敬ニ因リテ建テラレタル巌島神社ノ社殿ハ今仍ホ莊麗ヲ極メ後白河法皇高倉上皇ノ御幸ヲ始メトシ歴代武將ノ參詣相次ケリ其ノ附近一帶亦古來ノ史蹟ニ富ミ毛利元就カ陶晴賢ヲ討チシ古戦場尤モ世ニ名高シ
広島湾の西北部に当り大野瀬戸を以て本土と隔る長方形の島でその厳島峰の頂上からは瀬戸内海の風景を一望し、島内に滝、砂丘、寄岩、原等あり風致に富む。
厳島神社社殿廻廊及び大鳥居は海中に築造されて、あたかも海上に浮ぶ如く背後の島の自然とよく調和した特有の表現は日本三景の一としての名に恥じない。
厳島神社の社殿また荘麗を極め、附近には毛利元就と陶晴賢との古戦場その他の史跡に富む。