ヒシクイ
ひしくい
概要
S46-5-141ヒシクイ.txt: 古来、ガン類は、カリとも呼ばれ雁行の名のあるその雄大な飛しょうは、水鳥の中でもハクチョウとともにわが国民に親しまれてきた。
わが国に渡来するガン類は6種あるがそのうち、ハクガンは狩猟の目標になりやすいため明治末までにわが国に渡来していた群はほとんど絶滅し、シジュウカラガンは1922年頃までは東京湾の新浜に200羽前後が毎年渡来していたが1929〜30年を最後に跡をたち、またガンのうち最も大きいサカツラガンも1935年頃までは200羽もの渡来があったが、1948年を最後に群としての渡来はなくなった。
マガン、ヒシクイは昭和初期までは多摩川原や東京湾にも無数に渡来し、1950年頃までは2万羽を越える渡来をみたが、ここ数年の狩猟による被害のため、ついにマガン3726羽、ヒシクイ1477羽、コクガン339羽にまで減少し、さらに昭和46年1月の調査では、マガン2473羽、ヒシクイ598羽、コクガン179羽と、この種水鳥としては絶滅寸前の状態に陥った。これはソ連のセンサスにもあらわれ、ソ連にいくつかあるガンの繁殖地のうち、日本に渡来する群れの減少が特に著しく、渡来先の日本の状況が問題になっていた。わが国で古来親しまれたカリの渡りを永く保存するため、先に指定された宮城県の伊豆沼・内沼の生息地に加え、地域を定めず指定することとしたものである。
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