花
はな
概要
戦前の静物画において卓上の花瓶に挿された姿で描かれていた花は、やがて独立して画面いっぱいに広がり、その後の三岸の重要なモチーフとなった。花は簡略化された形になりながらもまだ原型をとどめているが、葉や細部は背景に溶け込んでいる。本作品でも、周辺の花はくすんで形も溶解しているが、花瓶の白色の力強い輪郭線により画面が引き締められている。この黒と白の花瓶はこの時期の作品にしばしば見られるものである。花瓶から溢れんばかりに咲き誇る花は、すでにどのような種類か特定することは出来ず、節子独自の抽象化された花となっている。花を愛でることを好んだ作者は、常に季節ごとの花を、様々な壺やクリスタルの花器などに挿して身近に置き楽しんでいた。
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一宮市三岸節子記念美術館