旧松本高等学校 講堂
まつもとこうとうがっこう こうどう
概要
旧制松本高等学校は,大正中期の高等教育機関拡張期に開校した文部省直轄学校のひとつで,設計を文部省大臣官房建築課が担当し,本館は大正9年8月,講堂は同11年8月に竣工した。
本館は,コの字形の平面をもつ木造二階建校舎で,北西の隅切部(すみきりぶ)に玄関などを設ける。外観は,下見板張に窓廻りの化粧材を連続させて現し,玄関二階の三連窓上部には駒形破風(こまがたはふ)を載(の)せて装飾する。講堂は,木造平屋一部二階建で,本館同様の外観とするが,玄関ポーチなど,内外の装飾細部の意匠密度を高めている。
旧松本高等学校本館及び講堂は,大正期における高等教育機関拡張期に最初に設立された高等学校のひとつであり,当時の木造学校建築の特徴を典型的に示している。また,本館と講堂の両方が当初位置に残っているという意味でも高い価値がある。