披雲閣(旧松平家高松別邸) 本館
ひうんかく(きゅうまつだいらけたかまつべってい) ほんかん
概要
披雲閣は、高松城跡の三の丸に所在する旧高松城主の松平家の別邸である。清水組の設計、施工により、大正6年に完成した。
三の丸の南面に開く桜御門を正門として敷地の中央に本館を建て、海に面した北側に庭園をつくる。本館は、接客、居住、家政などの機能をもつ各部を廊下で接続する。江戸時代の御殿を意識した伝統的な配置や意匠をもち、百四十二畳敷の「大書院」から複数の小座敷を配した「杉の間」まで、充実した接客空間を擁する。
披雲閣は、旧城主によって近代に建設された大規模な和風住宅であり、江戸時代の城跡に再建された希少な事例である。また、近代的な組織体制により設計と施工の管理が徹底された住宅建築であり、大正時代におけるわが国の大規模和風住宅の技術的水準を示すものとして重要である。