船原古墳
ふなばるこふん
概要
現存長37.4mの6世紀末から7世紀初頭に属する横穴式石室を有する前方後円墳である。横穴式石室の開口部の延長線上に密集する7基の土坑群には馬具・武具・武器・農工具・須恵器などの多量の遺物が埋納されるが,そのうち逆L字状の平面形を呈する1号土坑からは,馬冑(ばちゅう)をはじめとした朝鮮半島系の金銅製の馬具が豊富で,武具・武器とともに総数500点以上の遺物が一部は箱に収納して埋納されていたと考えられる。これら埋納土坑群から出土する土器は,古墳の周溝から出土する土器と接合することから,埋納土坑群は古墳に確実に伴うものであり,当該期の葬送儀礼の実態解明に繋がる可能性が高い。また当該期は,九州北部で前方後円墳が終焉する時期であることから前方後円墳の終焉状況を考える上でも重要であり,さらに,これまで空白地帯とされてきた宗像(むなかた)地域と福岡平野の中間地帯である当該地において,朝鮮半島や大和政権との関係性を有する前方後円墳が出現する意義も含め,この古墳は日本列島の当該期の政治状況や社会を考える上で極めて重要である。