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紙漉き

概要

紙漉き

日本画

冨田溪仙  (1879-1936)

トミタ、ケイセン

昭和3年/1928

彩色・絹本・屏風2曲・1双

各165.0×183.4

左隻左中央に落款、印章

15回再興院展(「紙漉」) 東京府美術館 1928

16
紙漉(す)き
Paper Making
1928年
絹本彩色・屏風(2曲1双) 各165.0×183.4cm
第15回再興院展に発表した作品で、テーマはその2年前に天皇、皇后両陛下銀婚式奉賀の現代風俗絵巻4巻の制作に加わった時の《越前紙漉》に続くものである。向かって右に大きな水船、左に紅白の椿のからむ小袖垣を置き、その前に小さな水船で作業をする古風な時代風俗をした三人の乙女を配し、全体のバランスをほどよくとっている。土佐派に南画風の描線を巧みに突き合わせたような作品であるが、一方で袖垣の光琳風な点や、墨汁のたらしこみなどには琳派の技法の影響も見られる。また、その色彩はカラリストとしての溪仙の面目をいかんなく発揮しているが、当時フォーヴィスムやドイツ表現主義の画集を集め研究していたともいわれており、既成の伝統にとらわれることなく、そうした枠の外に新しい真の剣造を試みようとする溪仙の積極的態度が見られる。
ひなびた中にも雅致のある詩情豊かな世界であるが、こうした傾向はひとつには詩人ポール・クローデルとの親密な交際によるもので、それ以前のやや宗教的なにおいを感じさせる作品系列とは一線を画す、転換期を示す重要な作品である。

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/ 屏風 / / 溪仙

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