静岡県明ヶ島古墳群出土土製品
しずおかけんみょうがじまこふんぐんしゅつどどせいひん
概要
本件は、古墳時代中期~後期の静岡県明ヶ島(みようがじま)古墳群から出土した土製品千六十四点と附の一括である。
これらの土製品は、平成六~十三年度(一九九四~二〇〇一年度)の発掘調査で、主に五号墳(一辺約十八メートルの方墳)下で検出された削り出し遺構から、ほぼ原位置を保った状態で出土した。
土製品には人形・四足動物形・武具形・武器形・鏡形・装身具形・農耕具形・紡織具形・楽器形など多くの形式が認められ、豊富な種類をもつことが大きな特徴である。このうち、人形の出土数がもっとも多く、主要な役割を担っていたと推察できる。さらに、人形では武人・男性・女性、琴形では棒琴・板琴・槽琴といったように、端的に特徴を示して作り分けている。
器物形は、構造的な特徴をよく捉えた個体が多く、把手表現をもつ盾形、三角板の地板表現をもつ甲形、柄頭(つかがしら)に茎尻(なかごじり)の端部を表現した大刀形や、靫形と矢形、綛車(かせかけ)形と舞羽(まいは)形のように、組み合わせ式の構造をもつ個体もある。
これらは、古墳時代中期前半の所産と判断できるが、五号墳と二号墳(後期後半)の周溝からも土製品が出土していて、祭祀の継続性も窺える。古墳時代の祭祀における土製品の種類と組合せをよく示し、当時の祭祀の実態を把握するうえで極めて重要な資料である。