シントコ(行器) しんとこ(ほかい)

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漆工 

北海道アイヌ(厚岸)
19世紀
木製漆塗
1個

 アイヌは、13世紀以降サハリン・千島・北海道・北東北に広く暮らしてきた民族で、日本に加え中国やロシアなど、近隣の民族と深い関わり合いをもちながら地域ごとに特色ある文化を育んできました。
 シントコは行器(ほかい)とも呼ばれる、四角ないしは円い筒形の脚付き容器です。シントコをはじめ、高坏(たかつき)や鉢、そして片口(かたくち)などの漆器類は、アイヌが本州の和人(わじん)から交易品や労働の対価として手に入れたものです。アイヌはこれらを宝物として扱い、普段の生活では家の東側の奥に位置する神聖な場に、富の象徴として飾りました。アイヌの社会では、多くの漆器類を持つ家が、猟や商いに優れ、また人望に厚いと見なされました。なかでもシントコの数は、家の格を示すものとして大切にされました。
 また漆器類は、しばしば信仰の道具として食料などをもたらしてくれた熊の霊を送る熊送りや先祖供養など重要な祭りに用いられました。こうした儀礼の際にはシントコで発酵させて作った酒を神へ捧げ、この酒で来客をもてなしたのです。江戸時代の絵師、平沢屏山(ひらさわびょうざん)や蠣崎波響(かきざきはきょう)によって描かれたアイヌ絵には、アイヌの祭りに用いられたシントコの様子がしばしば描かれています。

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