紺牙撥鏤針筒
こんげばちるのはりづつ
概要
象牙(ぞうげ)を轆轤(ろくろ)挽(び)きにより印籠蓋造(いんろうぶたづくり)に仕立てた円筒形の容器です。それぞれの筒の表面には、鳥獣や草花などの文様(もんよう)を撥鏤の技法で表しています。撥鏤は色染めした象牙の表面を刀で撥(は)ね彫りして文様を表す装飾法で、主に上代に行われました。天保13年(1842)の『御宝物図絵(ごほうもつずえ)』では、紅牙撥鏤尺(こうげばちるのしゃく)(N-83)とともに聖徳太子が仏像や袈裟(けさ)などを作る時に用いた針の容器と伝えられていますが、正確な用途は不明です。