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高岡産業博覧会 特別ポスター原画

たかおかさんぎょうはくらんかい とくべつぽすたーげんが

概要

高岡産業博覧会 特別ポスター原画

たかおかさんぎょうはくらんかい とくべつぽすたーげんが

日本画 / 昭和以降 / 富山県

森戸国次  (1904~91)

もりとくにつぐ

富山県高岡市

昭和26年/1951年

絹本,顔料,膠,金箔・もと衝立・著色

縦76.8cm×横94.2cm×厚1.1cm

1枚

富山県高岡市古城1-5

3-01-01-98

高岡市蔵(高岡市立博物館保管)

昭和26年(1951)4月5日から5月25日にかけて高岡古城公園にて開催された、高岡産業博覧会の特別ポスターのために描かれたもの。特別ポスターは2点あり、1点は旧小杉町出身の郷倉千靱画(『高岡産業博覧会誌』口絵参照)、もう1点が本資料である。他には全国公募にて3点が選ばれている。
 画面には、高岡漆器を思わせる黒い台の上に置かれた灰色の花瓶(高岡銅器か)に活けられた赤い牡丹と白い山桜が瑞々しく描かれ、対照的な色味がお互いを引き立て合っている。花瓶には並んで羽を広げる2羽の鳥が描かれ、花瓶の下には桜の花びら柄の青緑の布(高岡捺染か)が敷かれている。
 経年による劣化か、絵具の剥落している箇所や、汚れが付着している箇所が見られる。画面の右下に落款「國次」が書かれ、その下には印章(朱文方印「圀次/私作」)が捺されている。

 絵は顔料を使用して絹地に描かれており、紙の支持体に貼り付けられているが、『高岡産業博覧会誌』口絵と本資料を比較すると、絵の画面の大きさに違いがあるのが分かる。口絵を見ると、もともと絵はもう少し縦長であったようだが、原画は画面の下約3分の1が切り取られ、正方形に近い状態である(寄贈者によると、絵を衝立に加工するために切り取ったという)。
 支持体の両面には金箔が貼られており、表面は絵の周囲を囲むように金箔が貼られているが、裏面は霞がかった山々を点描で描くように金箔が貼られている。しかし、両面とも所々金箔の剥落や亀裂がある。支持体の裏面に一部破れが生じており、内部が少し見えている。また、支持体の上部側面に鉛筆のようなもので「上」と記されている。
 原画の一部が切り取られ、失われてしまったのが惜しまれるが、一枚の絵としてこの作品を見た場合、見る者は画面上に広がる鮮麗な色彩にしばし見入ってしまうのではないかと思われる。


【森戸国次】
 本名:國次。東京生まれ。京都市立絵画専門学校卒。師は山口蓬春。戦前は帝展、文展などで活躍を示し入選を重ね、戦後から日展に出品。昭和21年(1946)第2回日展にて「朝」にて特選・白寿賞を受賞。他の代表作には34年第2回新日展出品作の「薄暮」など。また、渡米、渡欧して画の幅を広め、ル・サロンなどにも出品した。
HP『名鑑WEB』(2017年1月19日アクセス)

【高岡産業博覧会】
 高岡産業博覧会は、昭和26年(1951)に高岡古城公園を会場として開催されました。この博覧会は、日本の豊富な電源力と産業を紹介しながら、地方産業の振興をはかることを目的とし、特に富山県の電力が豊富で安価なことを強くアピールしました。
 古城公園の敷地内には、23のパビリオンが設けられました。この内、本丸の大きな小牧ダムの模型や、北陸地方で初めてテレビジョンが公開された「テレビジョン館」などが人目をひきました。50日間の会期中には620,000人以上の入場者を集めました。
 また、鍛冶丸の美術館では著名な作家の作品などが展示されて好評を得ました。劇場建築の名手といわれた木村得三郎が設計した美術館の建物は、博覧会後に高岡市美術館として活用されました(今の当館常設展示場)。
『高岡市立博物館 常設展「高岡ものがたり」―楽しく知ろう!ひらめきミュージアム― ガイドブック』(高岡市立博物館、2008年)36頁

※参考資料
・『高岡産業博覧会誌』(高岡産業博覧会,1952年)口絵、272-277頁
・『高岡市市制一〇〇年記念誌 たかおか―歴史との出会い―』(高岡市,1991年)323頁

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