蛇穴の蛇曳き汁掛け祭り
さらぎのじゃひきしるかけまつり
概要
御所市蛇穴の野口神社を中心にして行われている「野神行事」である。五穀豊穣を祈り水を得るために龍神に祈願する祭りで、藁で長さ10m以上もの大蛇が作られることが特徴である。この大蛇を、人々は蛇穴中を曳きまわし、各家の前で大きく揺さぶっては囃したてる。
珍しいのは、以前は、祭りの時に見物人に味噌汁を掛ける作法があったということである。このことについて、蛇穴には次のような起源説話が伝えられている。「昔、近隣の長者の娘が役行者に恋をしたが、振り向きもされなかったことから、蛇身に化けてその後を追った。これを見て驚いた村人が、たまたま農作業の弁当にと持っていた味噌汁をぶっかけたところ、蛇は穴に隠れた。以来、娘の供養に野口大明神と崇め、祭典ではと大蛇を作ってお祭りをする」というものだ。今は、汁掛けの風習はなくなったが、参拝者に味噌汁が振る舞われている。
蛇穴の蛇曳き汁掛け祭りは、大和に伝わる野神行事の典型といえる内容を備えており、文献などからは少なくとも江戸時代以前から継承されていることが確実な行事である。