十王像(太山王)
じゅうおうぞう たいざんおう
概要
仏教には、人が亡くなると、生きていた時の罪について十人の地獄の王の下で裁きを受ける、という考えがあります。その王たちの裁判の様子を描いたのが十王像です。亡くなった日を1日目として、49日目までの7日ごとに秦広王 (しんこうおう)、初江王(しょこうおう)、宋帝王(そうていおう)、五官王(ごかんおう)、閻魔王(えんまおう)、変成王(へんじょうおう)、太山王(たいざんおう)が裁きを行い、それでも結論が出ない場合は、100日目に平等王(びょうどうおう)、1周忌に都市王(としおう)、3回忌に五道転輪王(ごどうてんりんおう)が裁判を行います。このような過程を経て、亡くなった人が極楽浄土に行くのか、それとも地獄に行くのかが決まると信じられていました。
描かれているのは、いずれも亡くなった人物が十王の前に引きずり出され、鬼から責めを受けている場面です。こうした絵は、法要などの行事で用いられると同時に、生きているうちにも悪いことをしないよう、人々への戒めの意味が込められていたと考えられます。
十王による裁判には、実は救いがあります。地獄に落ちそう、あるいは落ちた時に助けてくれるといわれているのが、地蔵菩薩です。そのため、十王、とくに閻魔王と地蔵は深いつながりを持つようになり、十王信仰と合わせて地蔵信仰も盛んになっていきました。