祠
ほこら
概要
祠
ほこら
富山県高岡市
明治後~昭和初期頃
七本杉,金属・木彫
幅79.0cm×奥行50.9cm×高さ92.4cm
台座大:幅68.1cm×奥行45.4cm×高さ25.7cm
台座小:幅69.8cm×奥行46.3cm×高さ8.1cm
1宇
富山県高岡市古城1-5
高岡市立博物館蔵
宮野家資料。
七本杉の遺材で作られた祠。同じく七本杉の遺材で作られた大小2点の台座の上に祠が乗せられている。向かって左に天狗立像が入った厨子、その右横に南無妙法蓮華経の置物(付属品)、中央の仕切りの右側に正一位稲荷大神璽が納められていた。
正面には木彫の装飾が施されており、上部中央には天狗の羽団扇紋が彫られている。また、両開き戸の向かって左の扉には天狗の羽団扇紋が付いており、右の扉には抱き稲紋が付いている。
寄贈者が先祖から聞いた話によると、明治27年(1894)9月頃、暴風により七本杉の7本の幹のうち5本が折れてしまった。この折れた5本の遺材を宮野家の納屋で保管し続けていたところ、寄贈者の先代で梅松園2代の宮野保一氏(1885~1977)の夢枕に「七本杉の遺材を使って、富山の仏壇または彫刻師に天狗の像を作ってもらえ」とのお告げがあり、天狗像や厨子、祠、台座などを作成して(作者不明)家で祀っていたとのこと。なお、古来より七本杉には神霊や天狗がいるともいわれ、ご神木ともされていたが、枯れて倒潰のおそれが出てきたうえ、交通や商店街拡張の妨げともなってきたので、昭和2年(1927)11月に伐採された。
この祠の祭祀は正式には「妙法講」(保一氏妻みすい氏が日蓮宗のお経を唱えていた)といったが、「高神様(たかがみさま)」と通称され、毎月1日に行われていたという。ちなみに、宮野家の菩提寺は博労町の極楽寺(浄土宗)である。また祠内の稲荷神璽は天狗と直接関係は無いと思われ、保一氏、または妻みすい氏の個人的信仰により勧請されたと思われる。極楽寺境内には「八ノ宮稲荷大明神」が鎮座していることに関わりがあるかもしれないと寄贈者は語っている。