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大阪府・岸和田市
国指定文化財(登録有形文化財(建造物))吉野家住宅主屋大阪府岸和田市本町129他
岸和田城下の紀州街道に面して歴史的景観を留める米穀商の町家。豪壮な二階建、切妻造平入本瓦葺で、西側落棟は倉庫で入母屋造とする。西寄りに玄関を設けて通り土間とし、東側に表から店間、仏間、座敷を配す。木柄が太く、肥松一枚板の建具など贅を凝らす。
国指定文化財(登録有形文化財(建造物))南海電気鉄道南海本線蛸地蔵駅西駅舎大阪府岸和田市岸城町1755
岸和田城跡南西に位置する南海本線の小規模な洋風駅舎。木造平屋建、半切妻屋根を交差させたスレート葺の急勾配屋根と妻面の屋根窓が特徴的で屋内にコンコース、駅務室、炊事場、仮眠室を設ける。南海本線洋風駅舎の一つで良質なセセッションの意匠とする。
国指定文化財(登録有形文化財(建造物))杉江能楽堂大阪府岸和田市岸城町1909-3
岸和田城跡に所在する能楽堂。切妻造の舞台棟と、橋掛り含む楽屋棟を白洲中庭に面して配し、相対する入母屋造座敷棟の見所と、下手の脇見所からなる。見所は床構え付十畳二間、脇見所は六畳間。対置式で白洲に採光するのは希少で、大阪府内現存最古の能楽堂。
国指定文化財(史跡名勝天然記念物)岸和田城庭園(八陣の庭)大阪府岸和田市
重森(しげもり)三(み)玲(れい)(1896~1975)は,日本の昭和期における代表的な庭園研究家及び作庭家であり,彼は生涯において約370に及ぶ歴史的庭園の実測図を作成し,200近くもの創作庭園を残した。その中でも,昭和28年(1953)に岸和田市の依頼に基づき岸和田城本丸跡に設計・作庭したのが岸和田城庭園(八陣の庭)である。
庭園の平面構成は中世の城郭(じょうかく)縄張図(なわばりず)を参考として考案されたもので,諸葛孔(しょかつこう)明(めい)の「八陣法(はちじんほう)」を主題とし,複雑な形状を成す3段の基壇の上に大将を中心として方(ほう)円陣(えんじん)の如く円形に配置された8群の石組みから成る。方円陣はもともと防御を目的としており,重森は敵を攻める陣形よりも外敵から守る陣形を8群の石組みの意匠・構成に採り入れたのだとされる。地上を巡ることにより一群の立石の立体的な造形を観賞するのみならず,立地する本丸全体の地形を含め庭園全体を岸和田城天守閣の最上階からも俯瞰するなど,水平・垂直の方向に展開する多様な視点から広く観賞することが意図された。抽象的な意匠・構成を重んじた重森の独創的な作庭理念を余すところ無く示しており,その芸術上の価値及び近代日本庭園史における学術上の価値は高い。