深澤家住宅(長野県塩尻市大字贄川) 南蔵
ふかさわけじゅうたく みなみぐら
概要
深澤家住宅は,中山道木曽路11宿の北端,贄川宿にある。贄川宿には,行商を生業とする商人が集住しており,深澤家もそうした家の一つであった。
宅地は中山道沿いの短冊形で,嘉永7年(1854)の竣工と伝えられる主屋が街道に面して建ち,後方に文政4年(1821)の北蔵と文久二年(1862)の南蔵が並ぶ。
主屋は,二階建,切妻造,平入,鉄板葺である。平面は通り土間と二列八室の座敷からなり,二階は表と裏に設ける。
北蔵と南蔵は,いずれも腰を海鼠壁とした漆喰塗の土蔵造である。
深澤家住宅は,各建物の建築年代がほぼ明らかで,江戸時代末期の木曽地方における宿駅の町家の姿をよく留めるものとして価値が高い。
主屋は規模が大きく,繊細な二階格子窓を出梁で持ち出して深い軒をつくる独特の正面外観をもち,架構や細部も優れ,当地方の町家の到達点をしめしている。