吉志部瓦窯跡
きしべかわらがまあと
概要
S45-5-115[[吉志部瓦窯跡]きしべがようあと].txt: 吉志部瓦窯跡は、淀川右岸に派生する紫金山丘陵の南斜面中腹にあり、紫金山瓦窯・岸部瓦窯とも称し、その所在は古くから知られているものである。
窯は平窯9基、登窯4基が上・下二段に並び、上段に登窯、下段に平窯が築かれ、平窯の背後沿いには排水溝が設けられている。平窯は全長約5メートルの半地下式構造で、燃成部、焼成部ともその保存は良好で、半割平瓦と粘土を交互に積成した分〓(*1)桟道、窯壁などみるべきものがある。登窯は全長約6メートル、幅約1.3メートル、床面は1面に平瓦を敷きつめ、三又脚窯具なども存在する。
ここからは平安時代初期〜後期の緑釉軒瓦が出土するほか、登窯からは緑釉陶器も検出され、瓦陶兼業窯であったことが知れる。とくに緑釉瓦の焼成は、第1次焼成を平窯で、施釉段階の第2次焼成を登窯で行なっていることが明らかであるなど、施釉瓦の焼成過程がよく知られる遺跡である。また出土瓦には初期平安宮造営軒瓦に同笵と目されるものがあり、官窯的性格が強く、初期平安宮造営における瓦供給窯としては、これまでに知られる唯一の例である。