乙女不動原瓦窯跡
おとめふどうはらかわらがまあと
概要
思川は、小山[おやま]市の西を西南流する利根川の一支流で、この窯跡は思川の左岸に沿ってのびる台地の西端に立地する。昭和51年度の試掘調査によれば、窯は4基以上みとめられ、東西に開析された台地の北斜面に並ぶ。窯体の全面調査は行われていないが、いずれも登窯の構造をとるものと思われる。灰原は前面の谷に東西約80メートル、南北30メートルにひろがる。
瓦は軒瓦が66点出土しており、白鳳様式のものを含む複弁八葉蓮華大軒丸瓦、均整唐草文軒平瓦などがある。下野[しもつけ]薬師寺・下野国府推定地などから出土した瓦と同笵のものがみとめられ、軒平瓦には瓦当面の一端に笵割れの痕跡を残して同笵関係をよく追跡しうる例もある。この遺跡は、下野薬師寺をはじめとして当地域における主要な寺院あるいは官衙の造営にかかわった瓦窯跡として貴重である。