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茶すり山古墳

ちゃすりやまこふん

概要

茶すり山古墳

ちゃすりやまこふん

古墳 / 近畿 / 兵庫県

兵庫県

朝来郡和田山町

指定年月日:20040227
管理団体名:

史跡名勝天然記念物

茶すり山古墳は、但馬南部に広がる和田山盆地を望む細い尾根の先端に造営された大型の円墳である。この地は播磨と但馬をつなぐ交通の要衝で、古代山陰道の郡部駅の推定地に当たっている。平成13年度、北近畿豊岡自動車道建設予定地を兵庫県教育委員会が発掘調査を行ったところ、規模が大きく重要な内容をもつ古墳であることが判明したため、協議を行い、道路計画を変更し現状保存することとなった。
 古墳は長径90m、短径78m、高さ18mを測る二段築成の円墳で、近畿地方では最大、全国でも4番目の規模である。墳頂平坦面は長径36m、短径27mの楕円形を呈し、墳丘全体の規模からするとかなり広く、この地域の墳丘形態の特徴を示している。墳丘は大部分が削り出しによって造られ、斜面の一部には葺き石が遺存していた。また、墳頂平坦面及びテラス部からは円筒埴輪や朝顔形埴輪が、墳頂からは家形埴輪等も確認されている。
 墳頂平坦面では2基の埋葬施設を検出した。中央南寄りにある第1主体部は、墓坑が東西13.7m、南北10.5mで、その中央に長さ8.7mの組合式箱形木棺が埋設されていた。棺内は粘土を敷き詰めて棺床とし、さらに小礫を敷き詰めた遺体埋葬部と、粘土敷きのままの副葬品埋納部とに分かれる。第2主体部は、第1主体部の北側にあり、東西7.5m、南北3.7mの墓坑内に、長さ4.8mの木棺痕跡が確認されている。副葬品は非常に豊富で、二つの主体部の副葬品を合わせると、青銅鏡4点、勾玉・管玉などの玉類2,000点、武具類では甲冑2組と盾7点、武器類では鉄刀・鉄剣・鉄矛など85点と鉄鏃400点、農工具類では刀子・斧・鎌など80点余りに達する。これらの中で注目されるのは、畿内地域以外では初めての出土となる三角板革綴襟付短甲や一つの棺からの出土数が最多である鉄矛など、多量の武器・武具類が副葬されたことである。また、漆の遺存状況が良好であり、刀剣類の装具の構造や盾の文様構成が確認された。さらには、畿内地域を中心に分布する鉄柄付手斧が出土したことも貴重である。
 茶すり山古墳は古墳時代中期前半の近畿地方最大の円墳であり、武器・武具をはじめとする副葬品は豊富である。墳丘の構築方法などに地域色は認められるものの、三角板革綴襟付短甲や鉄柄付手斧の出土は畿内地域と密接に関わりがあったことを示し、刀剣類の装具や盾における漆の遺存状況が良好であるなど、傑出した内容となっている。茶すり山古墳は古墳時代の社会や政治動向、とりわけ畿内の中央政権と地域の首長の関わりを知る上で重要である。よって、史跡に指定し、保護を図ろうとするものである。

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キーワード

古墳 / 埋葬 / 副葬品 /

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