熊山遺跡
くまやまいせき
概要
標高570メートルを有する熊山の山巓の平坦地域の一部に存する割石によって構成された壇の遺構で一辺約11.4メートルを有する方形の基壇上に築かれている。第1の壇は一辺の長さ約7.70メートル、高さ約1.18メートル、第2壇は一辺の長さ約5.10メートル、高さ約1.26メートルでそれぞれの側面の中央に石龕を設けている。第3壇は一辺の長さ約3.55メートル、高さ約1メートルを有する。曽て上壇の上面のほぼ中央部が発掘の厄にあい、一種の石室の遺構の中に陶製筒形容器と三彩の小陶壷とが蔵置されていたことが知られた。
この遺構は鑑眞和尚によって開基された戒壇跡ともいわれているが、奈良市頭塔、大阪府堺市土塔と同様の性格をもつもので、奈良時代における仏教的施設の遺構と認められ類例稀なものとして学術上の価値が高い。