公卿補任〈藤原俊成、同定家筆/〉
くぎょうぶにん
概要
『公卿補任』は貴族の職員録で、わが国神代以降の公卿記録として知られている。この冷泉家本は藤原俊成・定家の父子がそれぞれ書写して常用した所持本である。うち俊成筆本はもと綴葉装で現在九丁を存し、長治三年(一一〇六)条から大治三年(一一二八)条に至る間およそ十年分を断続して存している。また定家筆本は綴葉装(九括)で一四八丁を存し、建久九年(一一九八)条から承久三年(一二二一)条に至る二十四年分を収め、うち建暦元年(一二一一)条以降には筆者である定家自身の補任記事を掲げている。両本とも本文の内容は流布本(『国史大系』本)に比して大異はないが、官歴の内容にしばしば異同がみられ、流布本の欠を補う点が少なくない。なお両本の断簡は「補任切」として古筆の上でも珍重されている。
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