石上神宮摂社出雲建雄神社拝殿
いそのかみじんぐうせっしゃいずもたけおじんじゃはいでん
概要
石上神宮摂社出雲建雄神社拝殿 一棟
この拝殿はもと大字内山の永久寺(現在廃寺)の鎮守住吉神社の拝殿であったもので、大正三年現地に移建された。住吉神社は保延三年(一一三七)の創立といわれ、拝殿については、正安二年(一三〇〇)に現状の規模に改めたという記録がある。
桁行五間、梁間一間の細長い拝殿で、中央の一間だけ床を張らず、土間として、本殿に至る通路としている。この形式を割拝殿と呼ぶが、この拝殿はその最古の遺例ということができる。方柱、舟肘木、桁と虹梁、小舞裏の疎垂木など、すべて大面取で木割が細い。屋根は緩やかな切妻造で、虹梁上に蟇股をおいて棟木をうける。通路上は蟇股を置いて唐破風造の屋根を前後にのせるが、その破風を軒唐破風とせず、両側の屋根上にのせかけた手法は古様を示していると考えられる。緩い勾配の茨垂木の曲線は流麗である。現存拝殿中重要な遺構であるとともに、意匠の特に優れた作といえる。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)