野島断層
のじまだんそう
概要
野島断層は,平成7年1月17日未明、兵庫県南部を震源として発生した「兵庫県南部地震」(マグニチュード=7.2)の震源となった活断層である。横ずれ成分をもった逆断層で,北淡町野島平林付近では、約150mにわたり最大で水平方向210cm,上下方向120cmのずれが生じている。野島断層の全長は、北東から南西方向に伸び,淡路島北部の北淡町から一宮町にかけて断続的に地表に現れ,延熟は約9kmに達する。
今回指定をしようとするのは、このうち北淡町新小倉地区の延長約185m部分である。延長の5分の4についてはすでに覆屋により保護されており,平成10年4月には、断層保存館として公開されることになっている。断層保存館内での野島断層では,南東側が隆起した0.2-0.5mの上下変位,0.7-1.5mの右横ずれ変位が測定されている。保存館内では、並走する主断層と副断層、食い違った畦・排水路・社の生け垣,破壊
された道路の舗装などが明瞭に観察できる。これに加え、横ずれ断層に伴って形成された,逆゛ミ゜の字型に並んだ雁行亀裂や凹地など,保存されることが希な断層地形が観察できる。さらに,館内には、断層を跨いで地下に掘り込んだトレンチも設けられ,断層の動きを三次元的に捉えることができるようになっている。館外では、地震による破壊を奇跡的に免れた人家と大きく食い違った塀が観察できる。このようにこの地内では,断層活動に伴う様々な地形変位が残されているだけでなく、人工物の破壊によって地震の脅威を実感できる様々な現象がよく保存されている。
わが国を代表する自然現象である地震現象と断層活動を理解する格好の場として,天然記念物指定し保存を図ろうとするものである。