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花嫁用頭飾り

はなよめようあたまかざり

概要

花嫁用頭飾り

はなよめようあたまかざり

金工

北ヨムート族 トルクメン人

キタヨムートゾク トルクメンジン

19世紀前半

銀 鍍金 カーネリアン

高17.0(下げ飾り除く)

1点

トルクメン・ジュエリーにおける基本的な素材は銀と紅玉髄(カーネリアン)である。トルクメン人はそれらの素材が持つ神秘的な力を信じてきた。
まず、銀について。トルクメンでは銀は産出せず、ジュエリーの地金となる銀を、中国やアフガニスタン、ペルシャなど近隣諸国の銀貨を鋳溶かして得ていた。この金属は、月にもたとえられるように清浄で、人々に幸福をもたらすものとして、イスラム世界では好んで用いられるという。トルクメン人は、7世紀から8世紀にかけてアラブ人によって、イスラム教徒化された。現在でもイスラム教徒(スンニ派)が大勢を占めている。あまり知られていないが、旧ソ連領中央アジアはイスラム文化圏に属している。
金色の部分は、鍍金(金メッキ)によるものである。水銀に金を溶かして表面に塗り、加熱すると、水銀が蒸発して鍍金できる。現代では銀だけでなく真鍮などの金属も使用されている。
そして、紅玉髄は石英の一種が酸化鉄によって紅く発色したものである。紅玉髄の持つ不思議な力とは、怪我や落馬などの災いから身を守ってくれるというものである。
このようにジュエリーは身体の装飾以上に、お守りとしての効力を求められていた。
花嫁のための頭飾りも例外ではない。下げ飾りの魚は子宝を得ることを象徴しており、銀とそこに散りばめられた紅玉髄は大切な人を守っているのである。

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