細い運河
ほそいうんが
概要
画面右下に署名:S.MigiSHi
裏面に画題・署名・年記・場所:細い運河 三岸節子 昭和四十九年一月 南佛カーニュにて
出品:花とヴェネチア展(1974)
作者はとくに観光客も少なくなった冬のヴェネチアを好み、寒い中でもゴンドラに乗ってスケッチを続けた。水上からの視点は運河と建物が織り成す多彩な構図をもたらし、本作品も、見る者にひっそりとした狭い運河の中をゴンドラに乗って進んでいるかのような雰囲気を感じさせてくれる。やわらかな壁の桃色は奥へと進むほど霞み、空気に溶け込んでいくようである。運河の水面にサッと一筆入れられた青い線は、建物の間からわずかにのぞく空を間接的に表現している。ヴェネチアを描いた作品の中でも最も優れた作品の一つであり、ここに作者の風景画がある高みに達したことがうかがえる。
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一宮市三岸節子記念美術館