甲州西山の焼畑農耕用具
こうしゅうにしやまのやきはたのうこうようぐ
概要
山梨県の早川町西山地区は、早川(富士川の支流)の最上流域を占め、険阻な山峡に抱かれた南アルプス(赤石山脈)東麓の典型的な山村である。
この地域では、古くから集落背後の山腹斜面に耕作適地を見い出し、焼畑農耕をして主食糧を自給してきた。この地域の焼畑には、粟・小豆などを栽培するハルヤキ(春焼き)と蕎麦・粟などを栽培するナツヤキ(夏焼き)とに大別される。いずれも雑木林を一定期間(約15年間)をおいて伐り拓き、決まりの作物を輪作した。
この資料は、使い捨てられやすい難点を克服し、奈良田を中心に、上湯島・下湯島などの地区から体系的に収集したもので、早川最上流域で営まれてきた焼畑農耕の過程や実態をよく知ることができるものである。また、全国的にみて類例の少ないものも含まれており、南アルプス東麓の地域的特色も顕著にみられる。