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安久津延年

あくつえんねん

概要

安久津延年

あくつえんねん

無形民俗文化財 / 東北

選定年月日:19931126
保護団体名:安久津八幡神社文化財保存会

記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財

 延年【えんねん】は平安時代の末から鎌倉、室町時代にかけて盛大に行われた芸能の一形式であり、その名は「遐令延年【かれいえんねん】」に由来し、芸能によって気分をなごやかにし長寿寿福を得るという意味とされる。寺院の法会【ほうえ】等の後に一山の衆徒や稚児【ちご】などによって演じられた様々な芸能を総称するが、次第に一定の形式が整えられたことが奈良興福寺の延年【えんねん】に関する史料等で確かめられている。演じられた芸能の種類は舞楽【ぶがく】や田楽【でんがく】、猿楽【さるがく】、風流【ふりゆう】などである。近畿地方の諸大寺をはじめ全国の寺院で広く行われていたが、室町時代以降、徐々に行われなくなり、現在では、わずかに各地の社寺にそのおもかげをとどめるのみとなっているが、中世に行われた芸能の姿を知り、能楽【のうがく】など現在の伝統芸能を考える上で重要なものである。
 安久津八幡【あくつはちまん】神社は、九世紀に阿弥陀堂が建立されたことで始まり、十一世紀に源義家【よしいえ】が鎌倉の鶴岡【つるがおか】八幡宮を勧請【かんじよう】したものという伝承があり、後に交通の要所であったこともあって栄え、別当【べつとう】の神宮寺【じんぐうじ】などに加え、一二の坊をまつ規模であったという。
 安久津延年【あくつえんねん】は、毎年九月十五日の安久津八幡【あくつはちまん】神社の例大祭に行われているもので「振鉾式【えんぶしき】(燕舞式【えんぶしき】)」、「三躰舞【さんたいぶ】(三代舞【さんたいぶ】)」、「拝舞【おがみまい】」、「眺望舞【ちようぼうまい】(眺望楽【ちようぼうらく】)」など大人や稚児【ちご】による舞楽が、同社の参道にある宝形造茅葺【ほうぎようづくりかやぶき】の舞殿で演じられる。これらは、かつて盛大に行われた同社に関わる延年の姿をしのばせるもので、芸能の変遷の過程、地域的特色を示すものとして重要である。

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キーワード

/ 芸能 / 舞楽 / 稚児

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