織部魚鱗文俎板角鉢
おりべぎょりんもんまないたかくばち
概要
作者は京都市出身。大正14年東京の赤坂に会員制の料亭、星岡茶寮を開店し,昭和2年店用の食器を制作するため,北鎌倉に魯山人窯芸研究所星岡窯を開設しました。磁器、美濃焼系(織部・志野・黄瀬戸など)、京焼系(乾山・仁清・道八など)など古陶磁を範として旺盛に作陶し,織部焼の人間国宝に推されるも辞退。実用性を重んじ,伝統美を現代感覚で昇華。陶芸のほか漆芸,料理などにも習熟し,生活の中に美を追求しました。
織部焼の脚付き板皿は作者の特徴を最もよく伝えると言われる作風の一つ。織部焼は近世初頭に茶人・古田織部の好みを反映して美濃で焼かれた陶器。斬新な器形と,赤土と白土,緑釉や鉄絵の使用が特色です。本作では緑釉の帯と鉄絵による三角形の鱗模様が海浜の風情を思い起こさせます。また,この形の皿は焼き魚,刺身や鮨,前菜など様々な料理の盛り付けに重宝です。作陶から饗膳まで一貫した美を追求した作者の姿勢が感じられます。