御消息 「ただいまのはな」
おんしょうそく ただいまのはな
概要
明応九年(一五〇〇)、後土御門天皇の崩御を受けて天子の位を受け継いだ。応仁の乱後で世の中は混乱し、公卿は離散、朝廷の財政も苦しい時代で、治世は二十六年におよぶが、即位の礼をあげたのは、ようやく費用が整った二十一年後であった。苦しむ民を思い続けた情け深い天皇だったと言われている。
女房奉書風に散らし書きの仮名御消息である。花の風情を賞でられた内容であるが、字配りから見て、断簡か更に礼紙が沿っていたか判然としない。墨の濃淡に意を用いられた美しい筆致が見どころである。
(『名筆へのいざない―深遠なる書の世界―』海の見える杜美術館2012 解説より)