小豆島農村歌舞伎
しょうどしまのうそんかぶき
概要
小豆島農村歌舞伎は、香川県小豆島に伝承される民俗芸能で、役者、太夫【たゆう】、裏方すべてを地元住民が担う、西日本を代表する農村歌舞伎の一つである。伝統的に上方歌舞伎との関連が深く、地域的特色が顕著であり、芸能の変遷の過程を示していて貴重である。
本件は、香川県土庄町の肥土山地区と小豆島町の中山地区に伝わる農村歌舞伎で、肥土山では毎年5月3日に肥土山離宮【りきゅう】八幡【はちまん】神社境内の舞台で、中山では10月の第2日曜日に、春日神社境内の舞台でそれぞれ公開されている。
近世以来、上方との往来が頻繁であった小豆島では、その影響から歌舞伎の上演も盛んで、明治の最盛期には掛け小屋や神社・寺院の施設での上演を含めると島内150か所ほどで歌舞伎の上演が行われたといわれる。その後、次第に少なくなり、現在ではこの2地区での奉納上演が残るだけとなった。
伝承演目は、義太夫【ぎだゆう】狂言の時代物、世話物、また純歌舞伎など幅広く、さらに地元の義民伝【ぎみんでん】を仕組んだ独自の演目「金ヶ崎湊荒浪【かねがさきみなとのあらなみ】」もしばしば演じられている。また、演技・演出に上方歌舞伎の影響が見られるという指摘もある。
(※解説は選択当時のものをもとにしています)
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