大鹿歌舞伎
おおしかかぶき
概要
大鹿歌舞伎は,長野県大鹿村で伝承される地芝居で,明和4年の記録が確認できることから少なくとも18世紀半ばまでにはこの地で歌舞伎が行われるようになったことが確認できる。現在は,村内の大磧神社舞台と市場神社舞台の2か所で春・秋1回ずつ公開される。伝承演目は,義太夫(ぎだゆう)狂言を主として30種ほどあるが,舞台装置や演技・演出に大鹿歌舞伎独自の形がみられ,村民の手で長く伝承されてきたことを示している。また伝承演目の一つである「六千両(ろくせんりょう)後日(ごじつの)文章(ぶんしょう)・重忠(しげただ)館(やかた)の段」は,中央の歌舞伎や他地域の地芝居にはみられない大鹿村独特なものといわれ,地芝居特有の狂言として全国的にも貴重な伝承である。