三尾神社本殿
みおじんじゃほんでん
概要
三尾神社は,古くは園城寺南院の鎮守社で,同寺境内の南西側に所在していた。明治初期の神仏分離に伴い,境内の外側に移転し,三尾神社として独立した。
本殿は応永33年(1426)に建立された。三間社流造の形式で,屋根は檜皮葺とする。全体に装飾を抑えた簡素な意匠であるが,木太い軸部構成,舟肘木の曲線形状,反りの強い垂木などに,中世建築の特徴がよくあらわれている。
三尾神社本殿は,室町中期に遡る年代が明らかな三間社流造本殿である。木太い軸部や簡素な意匠による古風かつ雄大な形態であり,我が国の神社建築の展開を理解する上で,高い価値を有している。同じ鎮守社の新羅善神堂と親近性が強く,園城寺の室町再興期の様相を示す建築としても重要である。