玉椿杢彩箱
たまつばきもくさいばこ
概要
この箱は、色や木目の異なる木材を組み合わせて文様を表す木画(もくが)で装飾されています。蓋の甲から妻にかけて神代欅(水土中で多年を経た欅)と玉椿を交互に張って縞模様とし、欅の帯の中心に黄楊(つげ)の細線を、玉椿の帯にからませるように黄楊の曲線を象嵌しています。蓋の側面は棗の木で縁取った朴(ほう)、蓋を受ける台には神代欅が用いられています。多様な木材の特質を知りつくし、適材適所に用いて成された作品です。
作者は福山市に生まれ、板と板を組み合わせて作る指物(さしもの)の技術で、中国地方を牽引する木工作家として活躍。雅号の寛齋は同郷の文豪・井伏鱒二の命名です。16歳から指物を修行し、人間国宝の大野昭和斎に師事するなどして、腕を磨きました。日本伝統工芸展を中心に活動し、高い技術と感性に裏打ちされた創作活動を始めとして,後進の育成や普及活動などに励み,平成15年に広島県指定無形文化財保持者に認定されました。