蒔絵青貝細工ヴィクトル・モロー将軍肖像図プラーク
まきえあおがいざいくゔぃくとる・もろーしょうぐんしょうぞうずぷらーく
概要
蒔絵青貝細工ヴィクトル・モロー将軍肖像図プラーク
まきえあおがいざいくゔぃくとる・もろーしょうぐんしょうぞうずぷらーく
江戸時代後期/19世紀初期か
銅版に黒漆を焼付
31.8×21.2
1面
来歴:1983神戸市立博物館
参考文献:
・神戸市立博物館編『栄光のオランダ絵画と日本』(朝日新聞社文化企画局大坂企画部、1993)
・日高薫『異国の表象 近世輸出漆器の創造力』(ブリュッケ、2008)
上部にフランス革命時にナポレオンの腹心であったヴィクトール・モローの肖像図、下部に戦闘図が蒔絵、及び螺鈿装飾で表わされたプラーク。ドイツ・ミュンスター漆芸美術館には、本作と類似するモロー、及びボナパルト・ナポレオンの肖像図プラークが確認されており、対で作製されたと考えられています(日高、2006)。肖像図の下部には、フランス革命時に両者がそれぞれ勝利を収めたホーエンリンデン、マレンゴの戦闘図が配されています。
本作はモローの外套に雨龍のモチーフが施され、肖像図の裏面には菊をあしらった螺鈿装飾が施されているなど、ミュンスター本に比べて、より日本的な装飾が加味されています。下部にはナポレオンが指揮を執ったマレンゴの戦闘図が配されており、肖像図と戦闘図の組み合わせに齟齬がみられます。装飾を踏まえても、ミュンスター本よりも後の時代になってからの製作と考えられます。伝統的な漆工芸品でありながら、陰影を表わすハッチング技法や透視図法を用いた空間性に富んだ構図などの西洋画法が取り込まれた異国趣味に富む作品です。
【近世・近代の漆工・陶磁器・染織】